2011/09/16

【時々の途中経過】茨城県北といわき市の放射線量率と累積値
Radiation dose rate and accumulated value at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City

この記事は2011/7/ 4 時点の「茨城県北といわき市の放射線量」のコピーである。

最新版は

茨城県北といわき市の放射線量率と累積値

カテゴリー:福島第一原発トラブル
タイトル:茨城県北(北茨城、高萩、日立市)と福島県いわき市の放射線量率と累積値
概要:2011/07/4 12:00のデータに更新。

各地とも、ほぼ推定値どおり(注1)、5月末以降、横ばいを続けている。

注1:厳密には、いわき以外は若干のずれが出ている。これは、高萩での測定点変更、核種の成分比の推定と実際のずれ、原因不明の測定値の落ち込みなどによるものである。
再推定を行おうと思っているが、忙しさにかまけて、未だやっていない。

関連情報

日立市大沼町の放射線量率スナップショット
Radiation dose rate snapshot at OnumaCho Hitachi-city Ibaraki


つくば(KEK)の空間線量率スナップショット
Radiation dose rate snapshot at Tsukuba (KEK) Ibaraki


参考記事 
各地の放射線モニタ関連情報
全国の放射線量他のデータ、グラフ
福島原発の放射能に関する専門家の意見 

過去の記事
過去の記事は時々、【時々の途中経過】に保管しています。

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1 データのグラフ
1.1 カレント値 (current value)
(1) 測定値
7/4 日現在、以下の通りであり、各地(*2)ともほぼ推定値どおりで、5月末以降、横ばい状態である。
現在値は従来の自然放射線(*1)の3~4倍程度である。

いわき(合同庁舎): 0.2µSv/h (7/4 日12:00時現在)
北茨城(市役所): 0.19µSv/h (7/4 日12:00時現在)
高萩(総合福祉センター)(*2): 0.13µSv/h (7/4 日12:00時現在)
日立(大沼町): 0.17µSv/h (7/4 日12:00時現在)

(*1) 従来の自然放射線量は場所により異なるがほぼ 0.05µSv/h程度である。
(*2) 4/19 18:10 から高萩の測定点が変更された(小山ダム --> 高萩市総合福祉センター)。

 Fig 1 現在値(2011/3/14 ~)

いわき(合同庁舎)は、6月16日~20日にかけて若干増加したが、その後、元に戻っている。他の3地域ではそのような傾向は見られない。

北茨城(市役所)、高萩(総合福祉センター)、日立(大沼町)では6月14日午前2時頃~7時頃、0.02~0.03µSv/hほどのピークが観測されている。データをよく見ると、北から順に時間差があるので、たぶん、福島第一で何かあったと思われる。

しかしながら、その後またもとに戻っていること、および、文科省の定時降下物の調査結果の「ひたちなか市」のデータでも特に異常がないことから、放射性物質の降下は無かったと思われる。


Fig 2 現在値(2011/4/1 ~)

(2) 推定値と測定値の比較
4月12日に、単純モデル(*1)と放射線量変化モデル(*2)による、各地の今後の線量の推定した。

その結果、放射線量変化モデルによると、カレント線量は5月いっぱい程度で下げ止まっている(実測値もそうなっている)。

以下はこの推定値と測定値を重ねてプロットしたグラフである。

【いわき】
測定値は放射線量変化モデルによる推定値とよく合致している。
 Fig 3 いわきの測定値と推定値(~7月4日)


【北茨城】
測定値は放射線量変化モデルによる推定値よりも若干下方に推移している。これは、核種の配分比の推定が実際とは違うためと思われる。実際には、Cs-137に比べて半減期が短いCs-134の影響が出ているためと思われる。

 Fig 4 北茨城測定値と推定値(~7月4日)
【高萩】
高萩の推定値は測定点が小山ダムだったときのデータを基にしているため、実測値とは乖離がある。
 Fig 5 高萩測定値と推定値(~7月4日)
【日立】
大沼町モニタリングポストでは4月15日に突然の落ち込み(0.046µSv/h)があり、そのまま推移しているため、推定値よりは若干低めである。
 Fig 6 日立測定値と推定値(~7月4日)

 (*1) 線量推移が指数関数+定数に従うと仮定した単純モデル


線量近似値 = (初期値 - 自然線量率) x 0.5^(初期値からの時間/T) + B

T: 複数の核種の半減期を十把一絡げにした「みかけの半減期」である。
B: ここ数年の、線量の落ち着き先であり、半減期が長い放射性物質の寄与やどこかからやってくる(放出されている)放射性物質および従来の自然線量の総和の「みかけの自然線量」である。

ここでは、下記の2ケースを計算してみた。
[ケース1] 見かけの半減期をヨウ素131のそれ、みかけの自然線量を従来のそれとした場合
[ケース2] 半減期 と自然線量を変化させ、3月21日以降の実測カーブとフィットさせた場合
ケース2は初期値と見かけの半減期を、カーブのへこみ具合が一致するように短めに選んで固定し、実測値と近似値のグラフがフィットするように見かけの自然線量を動かすことにより、大き目の「みかけの自然線量」を予測しようとしたものである。
これを、近い将来に延長してプロットすることにより、今後の線量の上限が想像できる。


(*2) 放射線量変化モデル 
岡山大の北脇先生による考察を参照。
「放射線量変化モデルによる、積算放射線被曝量の推定と放射線源の推定」
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~kitawaki/Radiation_Model_Sim_4.htm


1.2 累積値 (accumulated value)
1.2.1 測定値の累積
3月14日から7月4日までの累積線量(*3)は以下の通り。

いわき(合同庁舎): 1.1mSv
北茨城(市役所): 0.84mSv
高萩(小山ダム、高萩市総合福祉センター): 0.71mSv
日立(大沼町): 0.55mSv

注意1: この値は1日24時間屋外屋外で過ごした場合であり、屋内はもっと小さい。
注意2: 4/19 18:10 から高萩の測定点が変更された(小山ダム --> 高萩市総合福祉センター)。
4/20の記事で、高萩の突然の落ち込みが謎であったが、茨城県のデータに高萩の測定点を変更した旨の注意書きがあった。

現在の値は、いわきで胸部レントゲン22回程度 、北茨城で17回、高萩で14回、日立市大沼町で11回程度である。

また、玉川温泉岩盤浴と比較すると、低レベル地域の量である。(一日中ずっと岩盤浴をしている人もいないと思うので、この比較もナンセンスといえばそうであるが、一つの目安である)

(*3) 累積値 = ∑{(カレント値 - 自然放射線量)} x サンプリング間隔
ただし、自然放射線量は 0.05 µSvと仮定

 Fig 7 測定値の累積値

1.2.2 推定値の累積

放射線量変化モデルの推定値から今後の累積線量を予測してみた。
それによると、以下の通りであり、そんなに気にしなくていい値になりそうである。
ただし、以下の2点に注意のこと。
注意1:これはあくまでもある前提に基づく理論的な予想であり、今後このとおりになるという保証はない。従って、今後とも測定データのウォッチは必要である。
しかしながら、カレント値の予測と測定値は今のところよく一致している。
注意2:この値は1日24時間屋外で過ごした場合であり、屋内はもっと小さい。

半年後の推定累積値(2011/03/14 - 2011/9/15)
いわき(合同庁舎): 1.4mSv
北茨城(市役所): 1.2mSv
高萩(小山ダム): 0.8mSv
日立(大沼町): 0.9mSv

1年後の推定累積値(2011/03/14 - 2012/3/15)
いわき(合同庁舎): 2.2mSv
北茨城(市役所): 1.9mSv
高萩(小山ダム): 1.1mSv
日立(大沼町): 1.6mSv

Fig 8 測定値と推定値の累積値

尚、これらの推定累積値では高萩の値が低くなっているが、これは測定点の特異性によるものかもしれない。 今まで、高萩の測定点は小山ダムにあり、他の地域と振る舞いが異なっていた(測定値の下がり方が速い、すなわち、半減期が短めに見えていた)。

4/19 18:10 から高萩市総合福祉センターに変わり、測定値の減り方は他の地区と同じようになった。しかし、線量そのものが低いため累積値の増加率は小さい。

1.3 出典データ

■北茨城、高萩のデータ
茨城県内の空間線量率の状況
6月4日からURL変更。(新しいデータが上側に表示されるようになって、データ加工に時間がかかるようになった。CSVで公開して欲しいものだ)


■日立市大沼町のデータ
茨城県環境放射線監視センター
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/earthquake/doserate.html
尚、このデータのCSV版は理研の板橋健太氏が下記で公開されている。
http://ag.riken.jp/u/mon/anim.html

■いわきのデータ
いわき市内の環境放射能測定値
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/topics/010570.html

福島県災害対策本部
平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況速報
http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm

2 解説

この情報は茨城県北(北茨城、高萩、日立市)と福島県いわき市のデータをグラフ化したものであり、「1.3 出典データ」に示すデータを元に作成した。
これらのデータをスプレッドシートにまとめたものは「radmonitor311 放射線量モニターデータまとめページ」 から入手できる。
https://sites.google.com/site/radmonitor311/home
https://sites.google.com/site/radmonitor311/dirtop/shared_data
https://spreadsheets0.google.com/ccc?key=tMqgTZcBvskBshCBbFxxe6A&pli=1&authkey=CJT01f0L#gid=1

尚、それぞれの測定点は以下の通りである。

いわき:合同庁舎
北茨城:市役所
高萩:高萩市総合福祉センター (注1)
日立:大沼町

注意1:4/19 18:10 から高萩の測定点が変更された(小山ダム --> 高萩市総合福祉センター)


来歴
(データ更新による内容の更新については、いちいち来歴は記さない)

2011/3/27 タイトル簡素化と、いわきの3/14~15のデータを追加した。 
和文:「茨城県北と福島県いわき市の放射線量の状況」→「茨城県北といわき市の放射線量」
English: "Radiation Monitor data snapshot at north Ibaraki-pref and Iwaki-city Fukushima-pref " --> "Radiation Monitor data at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City "
理由:他の記事との整合化とツイッターでの字数節約


2011/3/28 タイトルをもう少し正確にした。

和文:「茨城県北といわき市の放射線量」→「茨城県北といわき市の放射線量率と累積値」
English: "Radiation Monitor data at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City " --> "Radiation dose rate and accumulated value at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City"

2011/4/7 茨城県北に日立市大沼町のデータを追加した。

2011/4/15 推定値についてのグラフを充実させ、記事も全面更新した。