2011/07/12

自作ガイガーカウンタシリーズ関連メモ -その4-
倍電圧整流高圧電源の実験

@mo_t_on さんが900VのGM管を使うというので、秋月のCCFLインバータを倍電圧整流すれば?と言ってみた。

でも、やったことなかったので、ちょこっと実験してみた。

尚、電圧の測定は、4.7MΩ2個と47kΩ1個を直列に接続し、47kΩ両端を測定した。
本当は抵抗の誤差も考慮しないといけないが、今回は、測定電圧の200倍を出力電圧と読み替えた。

実験に使ったインバータは、この前、半波整流で使ったときも、あまり電圧がでず、リップルも多かったので、個体の問題かも知れない。
今度、別の個体でもやってみるつもり。やってみた(2011/7/12)。
適当にCRフィルタを入れれば何とか実用になるかもしれない。

実験回路

実験基板(ブレッドボード)


結果
入力3V付近で、1,000Vは軽く出る(10MΩ負荷)が、リップルがひどい。普通のダイオード+0.01μFで、リップル 880Vpp、ファーストリカバリダイオードで、リップル640Vpp。ちょっと厳しい。その後、別個体で追加実験を行った。

手持ちの高圧コンデンサがあまりないので、容量はそれほど増加できなかったが、適当なCRフィルタを入れると何とかなるかもしれない。

インバータの出力電圧とリップル
共通条件:平滑コンデンサ:10nF, 負荷抵抗:10MΩ

ケース1
ケース2
ケース3
ケース4
インバータ (S-050854) 個体A 個体A 個体B 個体B
ダイオード 普通 (1N4007) ファーストリカバリ
(05NU42))
ファーストリカバリ
(05NU42))
ファーストリカバリ
(05NU42))
入力電圧、電流  3.1V, 73mA 2.8V, 65mA 2.9V, 66mA 2.7V, 62mA
その他 - - - 出力にCRフィルタ(100kΩ + 9.4nF)追加





出力電圧 平均 900V 900V 900V 900V
リップル Vp-p 880V 620V 560V 490V

普通のダイオードの場合
入力 3.1V
リップル 880Vpp


ファーストリカバリダイオードの場合
入力 2.8V
リップル 620Vpp
 使えそうな気もするが、ちょっとリップルが大きすぎて、厳しいかも。

(以下、7月12日追記)
インバータの 個体を変えてみたら、ちょっとリップルが小さくなった。

ファーストリカバリダイオード
入力 2.9V
インバータ個体(B)
リップル 560Vpp

 出力に100kΩ + 9.4nF(4700pF並列)のRCフィルタを入れてみた。

ファーストリカバリダイオード
入力 2.7V
インバータ個体(B)
出力にCRフィルタ(100kΩ + 9.4nF)
リップル 490Vpp


2011/07/08

自作ガイガーカウンタシリーズ関連メモ -その3-
自作ガイガーカウンタの改良

昨日、@iyanajijii18さんと、ガイガー管 J408γを使用した自作ガイガーカウンタの2号機、3号機を製作した。

どちらも無事動作したが、私が作ったほうは高圧が380Vどまりで、それ以上調整できなかった。
動作はしたが、GM管 408γの定格の400Vにしたい。

そこで、今日調査したところ…、結果は、単に、電池が消耗していただけだった。
お粗末様。

ただ、原因調査しながら、色々調べていると、どうも今までの回路はまりお勧めできないことが分かってきた。

どうも線量が高くなるとサチる傾向があり、611GCMの測定会の結果でも、バックグラウンドを差し引いた測定値距離の自乗に反比例していなかったし、校正カーブ(cpm~μSv/h変換カーブ)が少し曲がっているのが気になっていた。

現在は線形近似して使っているが、 この改良で、本当に線形になるかもしれない。
そのうち、ちゃんとした線量計と比較してみたい。

また、色々調べていると、今のままでは、寿命にも影響があるかも知れないいことが分かった。

そこで、製作したばかりの2号機を改良してみた。
以下、改良のポイントをまとめておく。

従来回路:GMC-01-CL rev.1.2 (回路図 SCH PDF)
改良回路:GMC-01-CL markII (回路図 SCH PDF)

【改良点1】
パルス検出部の変更。
今まで、カソードに高抵抗(10M程度)を入れ、そこからコンデンサを介してトランジスタで受ける独特の検出回路だった。
しかし、CENTRONIC社の "Geiger Tube Theory" (文献1)という文献を読むと、この回路ではアノード~カソード間の容量が大きくなりすぎて、
(1) 寿命を縮める可能性
(2) プラトー電圧の幅が縮まる可能性
があるようだ。

そこで、結果的にはアノードに高抵抗 R10 (10M程度)を入れ、カソードに負荷R11 (100kΩ)を入れるオーソドックスな方式に変更した。
(実際にはトランジスタのベースでカソード電流を受ける方式のため、カソード抵抗R11は無くても動作する。しかし、カソード容量のC13は無いと動作しなかった)

その結果、以下のように、低線量でのカウント数は変わらず、高線量でのカウンと数が2倍以上に伸びた。
機器

線源
従来回路 (GMC-01-CL rev.1.2)
ベータ線遮蔽なし(実験中につき)
改良回路 (GMC-01-CL mkII)
ベータ線遮蔽なし(実験中につき)
cpm cpm
バックグラウンド (自然+福島第一の事故で積もった放射能) 101 99
線源:レンズ(TAKUMAR 1:1.4 50) + Iwatani CP-200-MANTLE 1,453 3,276

従来、ベータ線遮蔽にため、ガイガー管を金属パイプに入れていたが、その金属パイプが電気的に浮いたままだったので、気持ちが悪かった。
パイプを接地すればいいのだが、接地してカソード~グランド間の浮遊容量が増えるのも厭なのでそのままにしていた。

しかし、今回の回路では、 C13(浮遊容量の2桁ほど大きな値、容量の決め方は文献1のEQUIVALENT CIRCUIT, compensations 参照)が並列に入るため、気にせず接地できる。

尚、今回、C13の値を決めるため、手持ちの2種類のGM管のアノード~カソード管容量を実測した。
結果は以下の通りである。

J408γ: ガイガー管 3.1pF, ガイガー管 + 回路配線 3.6pF
GI-1G: ガイガー管 2.7pF, ガイガー管 + 回路配線 3.2pF,


【改良点2】
ACアダプタでも使えるようにした。
屋内の定点観測はこれを使うことにする。

【改良点3】
カウンタの電源をシリーズレギュレータから取るようにした。
従来は電池からダイオードを数個入れてドロップさせていたが、ACアダプタも使うようにしたため電源電圧が変わる可能性がある。
そこで、シリーズレギュレータの出力から取るようにした。

【改良点4】
カウンタ用の歩数計の改造で、*R1を0オーム(*R1をショート)にした。
自作ガイガーカウンタ用の歩数計改造メモ」追記3 参照

文献
1 Geiger Tube Theory, CENTRONIC社資料
http://www.centronic.co.uk/downloads/Geiger_Tube_theory.pdf

以上

2011/07/04

【時々の途中経過】茨城県北といわき市の放射線量率と累積値
Radiation dose rate and accumulated value at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City

この記事は2011/6/12 時点の「茨城県北といわき市の放射線量」のコピーである。

最新版は

茨城県北といわき市の放射線量率と累積値

カテゴリー:福島第一原発トラブル
タイトル:茨城県北(北茨城、高萩、日立市)と福島県いわき市の放射線量率と累積値
概要:2011/06/12 18:00のデータに更新。

各地(注1)とも、ほぼ推定値どおり、5月末以降、横ばいを続けている。

注1:4月19日から高萩の測定点が変わったため、現在値および減少カーブも異なっている。再推定を行おうと思っているが、忙しさにかまけて、未だやっていない。7月に入ったら、4地点の推定をやり直してみようと思っている。

関連情報

日立市大沼町の放射線量率スナップショット
Radiation dose rate snapshot at OnumaCho Hitachi-city Ibaraki


つくば(KEK)の空間線量率スナップショット
Radiation dose rate snapshot at Tsukuba (KEK) Ibaraki


参考記事 
各地の放射線モニタ関連情報
全国の放射線量他のデータ、グラフ
福島原発の放射能に関する専門家の意見 

過去の記事
過去の記事は時々、【時々の途中経過】に保管しています。

管理人:mountain_hill
ツイッター: @mountain_hill http://twitter.com/mountain_hill
メール:mountain_hill@k567.org

1 データのグラフ

1.1 カレント値 (current value)
(1) 測定値
6/12 日現在、以下の通りであり、各地(*2)ともほぼ推定値どおりで、5月末以降、横ばい状態である。
現在値は従来の自然放射線(*1)の3~5倍程度である。

いわき(合同庁舎): 0.22µSv/h (6/12 日18:00時現在)
北茨城(市役所): 0.19µSv/h (6/12 日12:00時現在)
高萩(総合福祉センター)(*2): 0.13µSv/h (6/12 日12:00時現在)
日立(大沼町): 0.17µSv/h (6/11 日0:00時現在)

(*1) 従来の自然放射線量は場所により異なるがほぼ 0.05µSv/h程度である。
(*2) 4/19 18:10 から高萩の測定点が変更された(小山ダム --> 高萩市総合福祉センター)。
 Fig 1 現在値(2011/3/14 ~)


Fig 2 現在値(2011/4/1 ~)

(2) 推定値
4月12日に、単純モデル(*1)と放射線量変化モデル(*2)による、各地の今後の線量の推定した。

その結果、放射線量変化モデルによると、カレント線量は5月いっぱい程度で下げ止まっている(実測値もそうなっている)。

以下はこの推定値と測定値を重ねてプロットしたグラフである。

現在のところ、高萩以外の測定値と推定値は結構合致している。
高萩は、実測値が若干高めである。また、日立はモニタリングポストの

高萩のデータは測定点が変更されたためである。近々、再度推定をやり直す予定。

他の個所に関しても、これらのデータがずれた場合は、その原因を考察しながら、適宜、推定を繰り返すことにする。
 Fig 3 いわきの測定値と推定値(~6月中)

Fig 4 北茨城測定値と推定値(~6月中旬) 

Fig 5 高萩測定値と推定値(~6月中旬)

Fig 6 日立測定値と推定値(~6月中旬)

 (*1) 線量推移が指数関数+定数に従うと仮定した単純モデル


線量近似値 = (初期値 - 自然線量率) x 0.5^(初期値からの時間/T) + B

T: 複数の核種の半減期を十把一絡げにした「みかけの半減期」である。
B: ここ数年の、線量の落ち着き先であり、半減期が長い放射性物質の寄与やどこかからやってくる(放出されている)放射性物質および従来の自然線量の総和の「みかけの自然線量」である。

ここでは、下記の2ケースを計算してみた。
[ケース1] 見かけの半減期をヨウ素131のそれ、みかけの自然線量を従来のそれとした場合
[ケース2] 半減期 と自然線量を変化させ、3月21日以降の実測カーブとフィットさせた場合
ケース2は初期値と見かけの半減期を、カーブのへこみ具合が一致するように短めに選んで固定し、実測値と近似値のグラフがフィットするように見かけの自然線量を動かすことにより、大き目の「みかけの自然線量」を予測しようとしたものである。
これを、近い将来に延長してプロットすることにより、今後の線量の上限が想像できる。


(*2) 放射線量変化モデル 
岡山大の北脇先生による考察を参照。
「放射線量変化モデルによる、積算放射線被曝量の推定と放射線源の推定」
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~kitawaki/Radiation_Model_Sim_4.htm



1.2 累積値 (accumulated value)

1.2.1 測定値の累積

3月14日から6月12日までの累積線量(*3)は以下の通り。

いわき(合同庁舎): 1mSv
北茨城(市役所): 0.8mSv
高萩(小山ダム、高萩市総合福祉センター): 0.7mSv
日立(大沼町): 0.5mSv (6/10まで)

注意1: この値は1日24時間屋外屋外で過ごした場合であり、屋内はもっと小さい。
注意2: 4/19 18:10 から高萩の測定点が変更された(小山ダム --> 高萩市総合福祉センター)。
4/20の記事で、高萩の突然の落ち込みが謎であったが、茨城県のデータに高萩の測定点を変更した旨の注意書きがあった。

現在の値は、いわきで胸部レントゲン20回程度 、北茨城、高萩で16回、日立市大沼町で10回程度である。

また、玉川温泉岩盤浴と比較すると、低レベル地域の量である。(一日中ずっと岩盤浴をしている人もいないと思うので、この比較もナンセンスといえばそうであるが、一つの目安である)

(*3) 累積値 = ∑{(カレント値 - 自然放射線量)} x サンプリング間隔
ただし、自然放射線量は 0.05 µSvと仮定
Fig 7 測定値の累積値

1.2.2 推定値の累積

放射線量変化モデルの推定値から今後の累積線量を予測してみた。
それによると、以下の通りであり、そんなに気にしなくていい値になりそうである。
ただし、以下の2点に注意のこと。
注意1:これはあくまでもある前提に基づく理論的な予想であり、今後このとおりになるという保証はない。従って、今後とも測定データのウォッチは必要である。
しかしながら、カレント値の予測と測定値はよく一致しており期待をしている。
注意2:この値は1日24時間屋外屋外で過ごした場合であり、屋内はもっと小さい。

半年後の推定累積値(2011/03/14 - 2011/9/15)
いわき(合同庁舎): 1.4mSv
北茨城(市役所): 1.2mSv
高萩(小山ダム): 0.8mSv
日立(大沼町): 0.9mSv

1年後の推定累積値(2011/03/14 - 2012/3/15)
いわき(合同庁舎): 2.2mSv
北茨城(市役所): 1.9mSv
高萩(小山ダム): 1.1mSv
日立(大沼町): 1.6mSv


Fig 8 測定値と推定値の累積値

尚、これらの推定累積値では高萩の値が低くなっているが、これは測定点の特異性によるものかもしれない。 今まで、高萩の測定点は小山ダムにあり、他の地域と振る舞いが異なっていた(カーブの下がり方が速い、すなわち、半減期が短めに見えていた)。

しかし、4/19 18:10 から高萩市総合福祉センターに変わり、減り方が他の地区と同じようになった感じがする。近々、再度推定をやり直す予定。

1.3 出典データ

■北茨城、高萩のデータ
茨城県内の空間線量率の状況
6月4日からURL変更。(新しいデータが上側に表示されるようになって、データ加工に時間がかかるようになった。CSVで公開して欲しいものだ)


■日立市大沼町のデータ
茨城県環境放射線監視センター
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/earthquake/doserate.html

■いわきのデータ
いわき市内の環境放射能測定値
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/topics/010570.html

福島県災害対策本部
平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況速報
http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm

2 解説

この情報は茨城県北(北茨城、高萩、日立市)と福島県いわき市のデータをグラフ化したものであり、「1.3 出典データ」に示すデータを元に作成した。
これらのデータをスプレッドシートにまとめたものは「radmonitor311 放射線量モニターデータまとめページ」 から入手できる。
https://sites.google.com/site/radmonitor311/home
https://sites.google.com/site/radmonitor311/dirtop/shared_data
https://spreadsheets0.google.com/ccc?key=tMqgTZcBvskBshCBbFxxe6A&pli=1&authkey=CJT01f0L#gid=1

尚、それぞれの測定点は以下の通りである。

いわき:合同庁舎
北茨城:市役所
高萩:高萩市総合福祉センター (注1)
日立:大沼町

注意1:4/19 18:10 から高萩の測定点が変更された(小山ダム --> 高萩市総合福祉センター)


来歴
(データ更新による内容の更新については、いちいち来歴は記さない)

2011/3/27 タイトル簡素化と、いわきの3/14~15のデータを追加した。 
和文:「茨城県北と福島県いわき市の放射線量の状況」→「茨城県北といわき市の放射線量」
English: "Radiation Monitor data snapshot at north Ibaraki-pref and Iwaki-city Fukushima-pref " --> "Radiation Monitor data at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City "
理由:他の記事との整合化とツイッターでの字数節約


2011/3/28 タイトルをもう少し正確にした。

和文:「茨城県北といわき市の放射線量」→「茨城県北といわき市の放射線量率と累積値」
English: "Radiation Monitor data at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City " --> "Radiation dose rate and accumulated value at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City"

2011/4/7 茨城県北に日立市大沼町のデータを追加した。

2011/4/15 推定値についてのグラフを充実させ、記事も全面更新した。

2011/07/03

自作ガイガーカウンタ用の歩数計改造メモ - その2 -
カウンタの最高動作速度とミスカウントの確率について

自作のガイガーカウンタの計数に、ダイソーの歩数計を使っているが、その最高動作速度が高々100Hz(100cps = 6,000cpm)程度なので、ミスカウントがどれくらいあるか気になっていた。

そこで、カウンタの最高動作速度とミスカウントの確率を計算してみた。たぶん、合っていると思うが、考え違いがあるかも知れないので、お気づきの点はコメントお願いしたい。

また、この計算は、GM管自身の不感帯とミスカウントの関係にも応用できそうである。

1 考え方
GM管の放電が平均値λ(回/単位時間)のポアソン分布に従うとすると測定値がk(回/単位時間)である確率は
P(λ, k) = λ^k*(e^-λ)/k! ---- (1)
で表される。

ここで、パルスが1発きた後、不感帯時間内に次のパルスが来なかった場合はカウント成功、次のパルスが来た場合はミスカウントと考えることにする。

尚、ここでいう不感帯とは、最高動作速度の逆数のことで、ダイソーの歩数計の場合は10ミリ秒(10ms)程度である。

2 不感帯、測定線量率とミスカウントの確率
測定線量率をDrad(cpm、カウント毎分)、不感帯を Tnc(min、分)とすると、不感帯内に次のパルスが来ない確率は、式(1) において、 λ = Drad * Tnc, k = 0 とおくとよいから、
P(Drad * Tnc, 0) = e^(-Drad*Tnc) ---- (2)
と表される。

従って、不感帯に1発以上のパルスが来て、ミスカウントする確率 Pmissは
Pmiss = 1 - P(Drad * Tnc, 0) = 1 - e^(-Drad*Tnc) ----(3)
と表される。

グラフ1 不感帯、測定線量率とミスカウントの確率
例えば不感帯が10msの場合(ダイソーの歩数計)では
50cpmで Pmiss = 0.08%
100cpm で Pmiss = 1.7%
200cpm で Pmiss = 3.3%
500cpm で Pmiss = 8.0%
1,000cpmで Pmiss = 15%
2,000cpm で Pmiss = 28%
5,000cpmで Pmiss = 57%
となる。

以上から、200cpm(≒0.4μSv/h, 自作GMC-01-CLの場合)程度の線量率では あまりミスカウントは無いが、1 000cpm(≒2.5μSv/h, 自作GMC-01-CLの場合)程度では15%ほどミスカウントしている計算になる。

3 ミスカウント確率、測定線量率と許容不感帯
逆に、ミスカウントする確率 Pmissに対する許容不感帯 Tnc は式(3)を変形して、
Tnc = - ln(1 - Pmiss)/Drad ----(4)
で与えられる。

グラフ2 ミスカウント確率、測定線量率と許容不感帯
例えば、
ミスカウントを5%以内にしようとすると、許容不感帯は
50cpmで Tnc = 62ms
100cpm で Tnc =  31ms
200cpm で Tnc = 15ms
500cpm で Tnc = 6.2ms
1,000cpmで Tnc = 3.1ms
2,000cpm で Tnc = 1.5ms
5,000cpmで Tnc = 0.6ms
となる。

すなわち、最大測定範囲 5,000cpm(≒13μSv/h, 自作GMC-01-CLの場合)でミスカウントを5%以下にしようとすると、許容不感帯が0.6ms、すなわち、最大動作速度が 1/0.6ms ≒ 1.67kcps = 600100kcpm程度のカウンタが必要となる。

4 計算結果とグラフ
以上の計算結果とグラフを以下に示す。
Googl spread sheet 「自作ガイガーカウンタによる測定結果」のシート「カウンタの不感帯と誤差」
https://spreadsheets.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AoHKTfYZ8myldC1lc3llaTlaYXBzaWNEX3A1Y2h2OUE&hl=ja

2011/07/01

自作ガイガーカウンタ用の歩数計改造メモ

最近、ガイガーカウンタを自作した。
同士が増えてきたので、参考のために書いておく。

【1】ガイガーカウンタ GMC-01-CL の回路
中国製のGM管 J408γ を利用したもので、felis_lynx さんの回路を少しアレンジしたものである。
回路図は→ SCH  PDF

改良版記事は→「自作ガイガーカウンタシリーズ関連メモ -その3- 自作ガイガーカウンタの改良
改良版回路図は→ SCH  PDF

【2】歩数計の改造
カウンタとして使用する歩数計の改造はラジオペンチさんの「100円ショップの万歩計(歩数計)の高速化、ダイソー編」を参考にした。

GMC-01-CL では、この歩数計の内部にトランジスタ1個を内蔵した。
(回路図の四角で囲んで、Step counter (DAISO No. 13624) と書いてある部分。このようにしておけば、通常のシンク形(オンでグランウンドに落とすタイプ)のドライバーにつなげるので、応用範囲が広くなる。(*1))

また、個別電池だとメンテが大変なので、電池を取っ払った。

従って、ラジオペンチさんの改造の写真では分からない部分があるので、以下に写真をアップしておく。

歩数計:ダイソー No. 13624

写真1 改造前の歩数計基板

写真2 CT 取り外し後

写真3 R1 に並列に5.1kΩ追加後
最新版ではR1はショートした。(*1)

写真4 基板表の電池の端子やばねなど(写真7参照)を取り外したところ。
ちょっときれいになっているのは、アルコールで掃除したから。

写真5 基板表にトランジスタ(Q2)と抵抗(R20)を追加

写真6 できあがりの基板裏面

写真7 基板をケースに取り付けたところ(周りにあるのは取り外した部品)

以上、蓋をして本体に取り付ければおしまい。
尚、この改造での最高動作速度は、1.5 2~5 Vp-pの正弦波入力で約50 100Hz (6,000cpm)だった。
本当はもう少しカウントして欲しい(追記参照)。 (2011/7/7 変更)

ためしに、Q2のコレクタを10kΩでプルダウンしてみたがさほど変わらなかった。
高線量でカウント漏れの可能性があるが、今のところはこれでがまん。

高線量になると理論的にどれほどのカウントミスをするか計算してみた。
「自作ガイガーカウンタ用の歩数計改造メモ - その2 -」
参照。

それによると、今回のダイソウーの歩数計では、
500cpmの測定で 8% のカウントミス確率
1000cpmの測定で 15% のカウントミス確率
5000cpmの測定で 57% のカウントミス確率
があることが分かった。
従って、この歩数計では数100 cpm の高線量域では直線性が悪くなり、誤差も大きくなることが予想できる。
それを考慮して使いこなすことが必要である。(2011/7/7 追記)

追記1 (2011/7/1) 今回の"物"の最高動作速度は約50Hz (50cps = 3,000cpm)だったが、前回の"物"は100Hz(100cps = 6,000cpm)までカウントした。ラジオペンチさんの記事でも100cpsだったと思うので、今回の"物"は外れ?かもしれない。
発振器の出力電圧を少し上げて、2V p-p (-1~1V)以上にすると、100Hz+αまでカウントするようになった。実際のガイガーカウンタでは、0~1.5V の振幅(今回の実験の 3V p-pに相当)でドライブするため特に問題はないようだ。(2011/7/7追加訂正)

追記2 (2011/7/1) 記事を書き終えた後、ラジオペンチさんの記事を読みかえすと、6月20日の追記があった。
それによると、R1を0オーム(R1をショート)にしても大丈夫そうで、最高動作速度も上がるようだ。次回試してみたい。 <--- 試して成功した。追記3 および「自作ガイガーカウンタシリーズ関連メモ -その3- 自作ガイガーカウンタの改良」参照。

追記3 (2011/7/8) R1を0オーム(R1をショート)にしてみた。確かに、最高動作速度が向上した。その結果、は下記の通り、ほぼ120Hzまでカウントできた。

(尚、歩数計の測定は手動で行っているため、手動の反応が±1秒とすると、その誤差は、±1秒/600秒 = ±0.17%ほど見込まれる)

発振周波数測定値誤差
Hz cpm cpm %
104.8 6,288 6,271 -0.28%
110 6,600 6,597 -0.05%
120 7,200 7,179 -0.29%
125 7,500 6,972 -7.04%
130 7,800 5,517 -29.3%
測定条件:入力信号 方形波、3V p-p (-1.5V to 1.5V)
測定方法:入力信号を手動でオンオフし10分間計測
測定器:発信器 AG-203 (TRIO), カウンタ:TR5822 (TakedaRiken), 2465CTS (Tektronix)
測定回路


来歴
2011/7/12 R1をゼロΩ化するなど、最新情報に変更した。