2011/03/18

茨城県(北茨城、高萩、大子)の放射線量の検討
Study of Radiation Monitor data at Kitaibaraki, Takahagi and Daigo in Ibaraki


カテゴリー:福島第一原発トラブル
タイトル:茨城県における放射線モニタ量の人体への影響の検討

1 結論
北茨城で現在の状況 (1マイクロシーベルト/時間) が1年間続いたとしても影響はないと自分なりに結論付けて納得した。

2 概要
茨城県や一部マスコミが、物理量の単位を無視した解説を行っているので、いくら安心だと言われてもすぐには信じられなかった。
現地では担当者が命をかけて作業しており、近隣地区では心配している人が多いというこの状況では、できる限り正確な情報公開が必要となる。
原子力の素人の私にもおかしいと感じるような説明はやめて欲しい…と、ぼやいてばかりいられないので、自分なりに調べてみることにした。

3 解説記事と検討
3.1 解説記事
以下は、茨城県のホームページからの抜粋である。

(a) 茨城県の放射線量の状況 3月18日 7時00分現在(健康に影響はありません)
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110318_08/index.html
…16日11時40分に記録した15.8(マイクロシーベルト/時間は、平常値の約300倍ですが、胸部レントゲン(50マイクロシーベルト)の約1/3ですので,健康に影響はありません。…

(b) 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射線の影響は心配ありません。(公開日  2011年3月16日)
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110316_17/
…この0.015ミリシーベルトがどの程度のレベルなのかということにつきまして、身近な事例と比べてみますと、日本人が1年間に自然界から受ける放射線の量(1.48ミリシーベルト)の100分の1程度となっており、非常に小さいレベルであることがお分かりいただけると思います。(参考:日常生活と放射線:PDF:330KB)…

3.2 解説記事の検討
これらの説明は不適切である。
もし、このとおりなら、15.8 μSv/h(マイクロシーベルト/時間)の状態が3時間継続すれば、胸部レントゲン1回分に相当することになる。
また、この値が100時間(4日ちょっと)継続すれば自然界から1年間にに受ける放射線量を超えることになる。

いいかえると、もしこの値が1ヶ月(720時間)継続すると、あびる放射線は
15.8 [マイクロシーベルト/時間] x 720 [時間]= 11 376 [マイクロシーベルト]= 11 [ミリシーベルト]
であり、胸部レントゲンで228回分、年間にあびる自然放射線量の7.7倍という計算になる。

これで、本当に安全なのか?という疑問がわいてくる。
それなら、本当に危険なのかどうかを自分なりに検討するしかなくなってくる。

そのために、もういちど、データを見てほしい。
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110318_07/index.html
...
3月16日 11時40分 15.8 μSv/h (マイクロシーベルト/時間)
3月16日 12時40分 4.57 μSv/h
3月16日 13時40分 3.20 μSv/h
...
3月17日 13時40分 1.28 μSv/h
...
3月18日  6時00分 0.97 μSv/h
...
このデータでは、3月16日 11時40分のピークの1時間後には3分の1以下、2時間後には約1/5、1日後には1/10以下に下がっている。しかしながら、その後は非常にゆっくりとした下がり方で、3月18日朝でも1 μSv/h 近辺をうろついている。

そこで、もし仮に、1 μSv/h という値が1年継続したと仮定すると、
年間被曝量は 1 μSv/h x 8 760 h/y = 8 760 μSv/y = 9m Sv/y となる。
すなわち、約10m Sv/y (年間約 10ミリシーベルト)ということになる。

しからば、年間約 10ミリシーベルトという値はどのようなものであろうか。
やはり、茨城県の同ページ http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110316_17/
「放射線が体に及ぼす影響」という資料が掲載されている。
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110316_17/files/20110316_17b.pdf

この資料によると、年間 500 ミリシーベルトでは抹消血中のリンパ球の減少が起きるとされているが、一方では年間 150 ミリシーベルト以下では、臨床症状は確認されていないとのことである。
ということから、一般人ではどんなことがあっても、年間 100 ミリシーベルト以下の被曝に抑えたいと言える。
年間約 10 ミリシーベルトという値は、この値の10分の1である。

また、年間約 10 ミリシーベルトという値は「世界で最も自然放射線が多いと言われている「イランのラムサールやブラジルのガラパリ」と同程度であり、まあまあ安全かと思えてくるのである。
http://www.taishitsu.or.jp/genshiryoku/gen-1/1-ko-shizen-2.html
http://www.taishitsu.or.jp/radiation/guarapari-a.html

ちなみに、国内の八幡平の玉川温泉の岩盤浴(北投石)の放射線量は
1~2 μSv/h (1時間あたり 1~2マイクロシーベルト) = 9~18 mSv/y(年間 9~18ミリシーベルト)
であり、この値とも同じ程度といえる。
http://kadoyasan.com/radium-onsen04.html
http://www.mus.akita-u.ac.jp/linkpage/hokutoseki.pdf

以上、長くなったが、北茨城で現在の状況 (1マイクロシーベルト/時間)が1年間続いても影響は殆ど考えられないと自分なりに結論付けて納得するしだいである。

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